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お嬢さんのcoroのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.0
1939年、日本統治下の朝鮮半島。莫大な財産を持つ令嬢秀子をめぐる物語。

日本名を与えられた韓国人や日本人など、すべての役を韓国の役者さんたちが演じているせいか、江戸川乱歩的な変態描写のせいか、いつしか現実と幻の見分けがつかなくなってしまう。
目も眩むような和洋韓折衷入り混じった怪しげな美術に身体ごと吸い込まれていく、(鈴木清順のような)深遠なる美の世界。

飴を咥えて入浴するお嬢さまの口元から漂う甘い香り。その開いた口内を弄ぶように研磨する侍女の指先から零れ落ちていく蜜。苦いと思ったら酸っぱくて、酸っぱいと思ったら甘くて、甘いと思ったら香ばしい。ボタンを外し、紐をほどく辺りの描写はまるでリュドミラ・ウリツカヤのソーネチカのよう

彼女の体から流れ落ちる美しい真紅の血は、冷たくて青くて美しい煙に包まれ、脆く曇って鈍くなったとき、あのときの靄に消えていく
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