とぽとぽ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
しっかり青春映画している、王道かつ反骨の。怖いけど怖い以上に面白い。
瑞々しい感性が細部に刻まれている。甘酸っぱいし、笑えるシーンも多い(その分ペニーワイズはお茶らけることなく、ひた向きにグロく怖がらせてくる)。キャラ立ち生き生きな子供たちが映画的マジックナンバー7人で、おまけにベバリー役の少女は赤毛で、80sを代表する顔で、青春映画の描き方を確立したジョン・ヒューズ(青春映画の功労者・創始者・哲学者・神)のミューズであったモリー・リングウォルドを彷彿とさせる。劇中で登場する映画や音楽も1988年当時のものでノスタルジック(特に『エルム街の悪夢』のチョイスは本作にピッタシ!)。これも昨今の映画、ロックシーン等で80sの再評価が高まり、まるまるスティーブン・キング(『IT』『スタンド・バイ・ミー』)やスティーブン・スピルバーグ(『E.T.』『グーニーズ』)の作品を思い起こさせるドラマ『ストレンジャー・シングス』(主人公の少年は本作ではリッチー役としてノリノリで脇役を演じて観客の笑いをかっさらう)が成功したことが製作の背中を押したに違いない。子供たちの演技は快活さも不安も引っくるめて生き生きとしているし、ペニーワイズもビジュアルの衝撃さこそ昔のモノに負けるが映像技術の力も借りてノリノリ。彼らのTシャツコレクションも最高の一言に尽きる。夏休みの色褪せない思い出で友情は深まったはず。
本作のホラー要素は言うなら死霊館エンフィールド事件の絵画からマリリン・マンソン勝手に3Dみたい?27年後を描くCHAPTER 2の製作も発表されているから早く見たい。自伝的な物語はいつも熱い。そして、面白さと当時の情感を見るものに思い起こさせる細部のリアリティーがその強度を上げる。その点、本作は小物、美術等でそれに成功している。しっかりと自分の子供時代を思い出し、しっとりとレトロスペクティブな気持ちになる。負けるなニューキッズオンザブロック!♪INデリー
キーワード「浮かぶ」You'll float tooからのオヤジ狩り
Welcome to the Losers Club, Asshole!って台詞、超好き!カッコ良すぎ。終盤爽快。

TOMATOMETER85%、AUDIENCE88%
Well-acted and fiendishly frightening with an emotionally affecting story at its core, It amplifies the horror in Stephen King's classic story without losing touch with its heart.
P.S.「it」が鬼ごっこのオニのこととは知らなかった。シネフィル削れの間に蔓延る町山崇拝の類いはよく分からないけど、この豆知識はナイス。
羊を殺すやつはノーカントリーを思い出した。
勝手に関連作『ストレンジャーシングス』『E.T.』『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』『キングス・オブ・サマー』
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