TAK44マグナム

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.5
ジョニー・デップもピエロ恐怖症ですのよ。


スティーブン・キング原作による、子供たちに恐怖を届けるピエロ「ペニーワイズ」が大暴れするホラー映画の二度目の映画化。

デリーという街に巣食う謎の存在がいましてね、そいつはピエロの姿をしているんですけど、27年ごとに現れては子供たちをさらってゆくんですよ。
そのことに気付いた、弟をさらわれた吃音持ちのビルやニューキッズ・オン・ザ・ブロック好きの詩人ベン、下ネタ命のお喋り少年リッチーや紅一点の美少女べバリー等のいじめられっ子たちが七人の侍よろしくピエロに立ち向かってゆくというお話です。
行方不明の弟を探そうとするところなんかは同じキング原作の「スタンド・バイ・ミー」のよう・・・なんて事は誰もが書いてますな(苦笑)

「ホラー映画のオープニング成績が史上ナンバー1」などと景気の良い宣伝文句の後押しもあって観てきました。
週末ということもあってか田舎の映画館でも入りは上々、何にしろホラー映画が脚光を浴びるのは良いことです。

しかしながら、個人的にはあまりビビッとこないまんまで終わってしまいました。
ガツン!とくるものが無かったというか、単純に怖くはなかったなあ。
ペニーワイズもティム・カリーみたいに顔面からしてキモいと怖さも増したような気がしますけれど、本作は襲ってくる時の動きなんかで逆に笑ってしまいました。
音やタイミングでビックリさせられはしましたが、そういったお化け屋敷以上の、底冷えするような恐怖は感じられませんでしたね。
どちらかというと、べバリーの父親のほうが変態ぼくて嫌でしたよ。

劇中に登場する劇場でかかったりしていましたが、「エルム街の悪夢」みたいですよね。
相手が恐怖を感じれば感じるほどパワフルになれるので、幻覚を見せたりして怖がらせるのなんてそのまんまフレディ・クルーガーじゃないですか。
それと、相手の一番苦手なものに変身するのは「ギャラクシー・オブ・テラー」の様です。
で、本作の恐怖シーンと言えば、どこかで見たような既視感があるものが多く、ビジュアル的にも、もっと何か出来たはずだと思えて仕方がない。
大人へと向けられる苦い感情や、子供が根源的に感じるピエロへの恐怖心も、思わせぶりなギミックに頼ってばかりの「驚かし」の数々によって褪せてゆく・・・そんな気さえしました。

子供たちへの迎撃用にイジメっ子を洗脳するペニー・ワイズなんて狡猾なんですけれど、せっかく尺を割いたのに大して効果的で無かったように見えてしまうのも難点。

容赦なく幼児の腕をもぎとってしまうオープニングは、かなり期待できたんですがねぇ・・・・・ネタバレになってしまうので細かくは書けませんが、本作は所謂前編であって、子供たちが大人になって再びペニーワイズと対峙する後編が存在するという事実こそが「本作が怖くない理由」そのものなのです。
登場人物に感情移入したとして、その人物が死ぬか生きるかにドキドキするのがホラーの醍醐味のひとつだと思うわけで・・・・・

青春映画としてみても、まあまあ普通というか、そこまで出色の出来とも思えず。
子役さんたちの瑞々しい演技は大変素晴らしかったのですが、キャラクターたちが自分の感情に任せて動くというよりもシナリオ通りに動かされている感が強く、クライマックスに向けて再集結する際も取ってつけたような締りの悪さが目立ったかと思います。
熱いセリフはあっても、熱量が足りないというか。

あの手この手で怖がらせようと迫るペニーワイズの顔芸(「デッドリースポーン」みたいにもなっちゃう)と、ベバリー役のソフィア・リリスの凛とした可愛らしさとスラッとした脚線美は儲けものでした。
ソフィア・リリスは、若い頃のスカーレット・ヨハンソンみたいな雰囲気をもつ美少女さん。今後の活躍に期待ですね。
他の男の子たちもルックスが割とイケてるので、将来のイケメンスター候補生が幾人も出演していたという事で、未来まで注目され続ける作品になる可能性もありますな。

とりあえず一番気になる「ペニーワイズの正体」については後編で明らかになるわけでして、やはり一度目の映画化の時と同様の姿形なのかどうかなのか?
そこが気になって仕方がありません。
なので、はよ後編つくってくださいね〜〜!


劇場(TOHOシネマズ海老名)にて