ガンビー教授

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のガンビー教授のレビュー・感想・評価

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波にやや乗り遅れての鑑賞。なるほどこれはヒットするはずだというか、いい意味でお化け屋敷感覚が強くて、これは子供たちの成長譚が中心に据えられているためもあるだろうけど「怖すぎない」作りのバランスがほどよい。

一つ一つのホラー表現を見ると、身の回りの風景の延長線上にあるギミックを活かして、いかにスムーズにホラー的瞬間に移行するかというアイデアで楽しませるという側面が強い。またホラー描写に虚構性/ファンタジー性がやや高いのは子供の恐怖の具象化という意味もあるし、往年のホラー映画っぽさを演出する狙いもあるとは思うが、こういうのってジェームズ・ワン以降のホラー演出の感覚だなと何となく思ったりした。

で、「ああこれってキング原作の過去のホラー映画のあれっぽいなー」とか言ってあちこち楽しめるし、全体にそつなくバランスが取れているのだけど、全体にそつなくバランスが取れているからこそ一つ一つの要素に常に既視感があってこの作品独自の個性みたいなものが浮かび上がってこないようにも見えた。映画というものが模倣と反復によって出来上がっている表現だというのは重々知っているのだけど、とりわけこの作品に関しては(十分楽しんだうえで)なぜかそう思ってしまった。
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