Yoshimasa

ハクソー・リッジのYoshimasaのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.4
絶望と悲しさと感動が一度に押し寄せる。

メル・ギブソン監督作。過去に監督した作品は見ていない。主演はアンドリュー・ガーフィールド。『沈黙-
サイレンス-』と同じく敬虔なクリスチャン役。

パッと見、ファンタジーなんですよ。戦火をかいくぐり、銃やその他武器を持つことを拒否した一人の衛生兵が、敵味方関係なく次々と怪我や瀕死状態の兵士を救う物語。まさにこういう人物をヒーローっていうんだなってマジで思います。しかも実話。もうファンタジーですよ。

圧倒的数で劣る日本軍がそれでも次々とアメリカ軍に迫ってくる。映画見るとわかるんですが、日本兵、生者なんだけどマジでゾンビそのもの。目は死んでるのに、生命力にあふれている。どうせ死ぬなら一人でも多くの米兵を殺してやる、という執念。
それに反して主人公であるドスは、自身の少年期の体験と信仰によって、「神様、どうかあと一人だけ、一人だけでも助けさせてください」と、兵士なのに人を殺さず、その代わりに一人でも多くの人命を救うという執念。右を見れば仲間が下半身を失い、左を見れば敵が次々と死んでいく、そんな戦場でただ一人、人命救助に命を懸けた衛生兵。まさに戦場のヒーロー。

宗教のことはわかんないけど、絶対に譲れない、決して曲げない信念を持つ者こそがヒーローであり、身を挺して人を助ける者を英雄と呼ぶんだと思う。ドスこそがまさにそれなのである。

映画という虚構でありながら、戦闘シーンを見ればわかる。戦場は地獄、そして戦争は悪の所業だと。
Yoshimasa

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