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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのmajiziのレビュー・感想・評価

4.0
「ライ麦畑でつかまえて」で有名なJ.D.サリンジャーの伝記映画。

人の何倍も繊細で感受性が強い人だったのだろうなと。

とにかく創作の、産みの苦しみ。
作品と同化したり迷ったり。

戦時中は書くことが救いでありながら、帰還後は書くことでフラッシュバックに悩まされる。

生き残ってしまったという思い。

ノルマンディーや、ドイツでの強制収容所の解放という経験…

戦地では新聞の一面記事で失恋もしちゃうし、踏んだり蹴ったり。

瞑想やヨガで心を取り戻すも、自分との対話が多く、人と分かち合うことが難しい。

しかし心の機微や置き場のない感情という彼の表現は、人々に衝撃と共感を生む。

あまりの社会現象に隠遁生活へ。
それが却って、神聖化されていくことに。

劇中サリンジャーの作品の文章が出てきてその瑞々しさに、思わず読んでみようかなという気になります。

ニコラス君はこの後、トールキンも演じている。あまり癖のない役者さんだから、実在の人物を演じられるのかな。
複雑なキャラクターをとても好演していました。

サリンジャーの片鱗が少しみえる作品。
ラストの台詞は感動的です。
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