「ライ麦畑でつかまえて」で有名なJ.D.サリンジャーの伝記映画。
人の何倍も繊細で感受性が強い人だったのだろうなと。
とにかく創作の、産みの苦しみ。
作品と同化したり迷ったり。
戦時中は書くことが救いでありながら、帰還後は書くことでフラッシュバックに悩まされる。
生き残ってしまったという思い。
ノルマンディーや、ドイツでの強制収容所の解放という経験…
戦地では新聞の一面記事で失恋もしちゃうし、踏んだり蹴ったり。
瞑想やヨガで心を取り戻すも、自分との対話が多く、人と分かち合うことが難しい。
しかし心の機微や置き場のない感情という彼の表現は、人々に衝撃と共感を生む。
あまりの社会現象に隠遁生活へ。
それが却って、神聖化されていくことに。
劇中サリンジャーの作品の文章が出てきてその瑞々しさに、思わず読んでみようかなという気になります。
ニコラス君はこの後、トールキンも演じている。あまり癖のない役者さんだから、実在の人物を演じられるのかな。
複雑なキャラクターをとても好演していました。
サリンジャーの片鱗が少しみえる作品。
ラストの台詞は感動的です。