はた

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープルのはたのレビュー・感想・評価

3.7
タイカワイティティ監督の大出世作。ニュージーランドを舞台にマオリ人の少年と年老いた老人の奇妙な珍道中が繰り広げられます。
この映画は「ジョジョラビット」同様にウェス・アンダーソン風のシュールなカット、動物への厳しい描写、主人公と周りの人物が織りなす疑似家族的関係などが特徴的です。でも、個人的にこの映画は彼がウェスとは別のもう一人の映画監督に影響を受けていることを暗示する作品とも読めます。その人物とは、リドリー・スコットです。

例えば、主人公のリッキーが顔に泥でフェイスペイントをするシーンはもろに「ブレードランナー」だし、終盤、荒野を走る一台の車を何台ものパトカーが追跡するシーンは明らかに「テルマ&ルイーズ」です。ちなみに「マイティ・ソー」の中盤、ソーがコロシアムでハルクと戦う羽目になるシーンがありますが、konbiniの「Taika Waititi - Russell Crowe, c’est le plus grand des acteurs | Vidéo Club | Konbini」という動画において、監督自身が「グラディエーター」という作品に言及している部分があります。「グラディエーター」とはコロシアムで戦う剣闘士のことです。

自給自足の生活や命の奪い合いを通して主人公が精神的に成長していくという物語はそれこそリドリースコットが「ブレードランナー」「テルマ&ルイーズ」で繰り返し描かれてきたテーマでもあります。ちなみにタイカワイティティが一時期監督をするかもしれないと報道された日本の漫画「AKIRA」ではブレードランナーに出てくるロスと同じように荒廃したビル群と最新のネオン街が混ざり合った2020年の東京が描かれています。
はた

はた