みかんぼうや

手紙は憶えているのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.9
【認知症という要素を組み込むことで独特な緊張感と不安感が終始引き立つサスペンス。驚きの展開に短尺ながら見応え十分】
★本作、ネタバレになるので、Youtubeに流れている“予告”すら観ないほうがいいらしいです

観終わって、思わず「なるほど~!」と思わされる作品でした。

認知症を患った老人が、同じ老人ホームの友人から渡された手紙の内容をもとに、無断で施設を抜け出し、手紙に書かれたある目的を達成しようとする・・・

何を書いてもネタバレになりそうなので、内容に触れづらいのが悔しいところですが、認知症という記憶が途切れ途切れの状態をサスペンスに組み込んだのは、賛否両論あると思いますが、物語の緊張感を終始作り上げる意味ではしっかり機能していたと思います(認知症を使ったご都合主義的なところは少し気になりましたが)。

前日の記憶もない一人の男が電車を使った長旅をするだけでも観ていてソワソワするのに、序盤で銃まで購入してそれを持ち歩き続けるのだから(これはかなり序盤なので本筋のネタバレにはならないかと)、これから何が起こるか何をしでかすか分からない、という心配や恐怖が最後まで絶え間なく続きました。

私自身が疑り深い性格だからか、サスペンスを観始めると、とにかく展開や犯人、トリックなどを見破りたくて、色々なバリエーションの展開を想像しながら観るので、終わってみれば、予期せぬ展開やラストということもなく、「どこかで観たことがあるような・・・」とは思ったものの(ただ、それが何の作品か思い出せないのですが)、それでも最後の最後まで一筋縄ではいかない捻りの効いた展開で、しっかり驚かされた面白いストーリーでした。

ちなみに、中盤以降に、TVドラマ「ブレイキング・バッド」のハンク役であるディーン・ノリスが登場!このドラマの大ファンで、ハンクは特に好きなキャラクターなので、映画での彼の活躍が観られたのも個人的に満足です。

90分ほどの短尺なのに、見応え十分のサスペンス作品でした。
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