このレビューはネタバレを含みます
認知症の進んだ老人の道中の痛々しさに胸が締め付けられそうになった。
腕にメモを書いているのがメメントみたい。
朝起きたら全ての記憶が飛んでいるほど認知症の進んだクリストファー・プラマーを、マーティン・ランドーは、よくもまぁ送り出すものだ、いくら元気な頃のクリストファー・プラマーに頼まれていたとしても、無責任過ぎる。
これは、クリストファー・プラマーの意思というより、マーティン・ランドー側に、何か私怨を晴らしたいといった動機があるのでは と思っていた。
しかも、クリストファー・プラマーの咄嗟のガンさばきがとても認知症の老人とは思えないし、昔訓練を受けて身体が覚えていたんだろうな、と察しがついた。
だいたい、マーティン・ランドーはユダヤ人の役が多いけど、クリストファー・プラマーは、オーストリアの軍人役などが多くて、最初から、配役に ちょっと引っ掛かっていた。
今もなお終わらない戦犯問題と、認知症の問題をうまく絡めたストーリーだと思う。原題の「Remember」がよく物語っている。
しかし、認知症が進んでしまったら、悪意を持った人間にかかるとイチコロだよなぁ。
そういう意味では、クリストファー・プラマーの道中に出会った人々が良い人達過ぎて、ハラハラしながもホッコリした。
舞台は見事にアメリカやカナダの地方を巡っていた。目立たない場所に潜んでしまったら、戦犯も まず見つからなさそう。
そういう意味で、まさかの老人施設での出会い、しかも相手は認知症というのは、青天の霹靂だったろう。
クリストファー・プラマーのピアノを弾くシーンが良かった。