柊

幼な子われらに生まれの柊のレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.6
今時は珍しくもない連れ子ありの再婚。表面的には上手にやっているように見えて、手放した娘、血の繋がらない連れ子、新しく生まれようとする子とどれも同じように愛しているつもりの父親。
その父親もリストラ対象となり出向させられている現状を家族に言えずに給料さえ下がらなければそれで良いと割り切っているが、しごとの成果が上がらずば減給も有りな状態。
一度目で上手くいかなかった結婚なのに、連れ子が2人もいる人と案外ささっと再婚してしまう浅野忠信。結局気にかけなければならない子どもはいつの間にか4人。自立している前妻と依存性が強い再婚妻。でも前妻も決して強いだけの妻ではなかったことにも初めて気がつく。
そして連れ子の反抗。よく投げ出さず辛抱したなと思う。一度離婚してるとまた同じ事を繰り返すのではないかと思ったが、土壇場で前妻の死別しょうとしている夫と実子の繋がりを見て、育ての子との関係に改めて向き合おうとする浅野忠信。単純な良い人には見えない浅野忠信が踏みとどまる経緯が若干説得不足にも思えるが、不甲斐ない人間だからこそ今の状況に何とかしがみつけたのかな?とも思う。結果首の皮一枚で家族崩壊を免れたように見える。昔よりも複雑化している家族関係を繋ぎ止めるものとはいったい何なのか?それぞれの家族の事情があると思うので一概には結論付けられないけど、家族とは血の繋がりだけでは無いと言う事を言いたかったのかな。
そうでなければ今の世の中乗り切っていくなんてとても難しい。
最後上手くまとめられていたようで、浅野忠信の心の闇には本人が無理やり蓋をして納得させたように感じるのは穿った見方すぎるかな。
柊