夫である男性が主人公なのですが、現代の妻という女性の葛藤もよく見える作品だと思います。
家族のあり方は時代で変化してきていると思いますし、構成員によってもそれぞれが十人十色。
バツイチ子連れ再婚は今後ますます増えるでしょう。それが孕む問題になりそうなところをいくつも散りばめられた作品で、考えさせられました。
女性が抱える大きな問題。キャリアと出産、育児。寺島しのぶ演ずる元妻の言い分、よーくわかります。女性なら、一度は葛藤してると思います。
平等の難しさ。女性蔑視か男性軽視か。簡単に引く事が出来ない境界線。
そして、男脳と女脳の違いによる歪み。いや、それが分かっていれば回避できる諍いもありますが、感情って厄介なので。
薫が義父に対して嫌悪感をつのらせるのは当然な流れです。義父からしたら、なんなんだ!とキレたくなると思うのですが、そういうもんです。思春期の女の子。
妻も夫が別れた娘と会っていた事に若干の拒否反応を見せるところがリアル…。
父であり母である。大人だって、感情を抑えきれないことはいくらでも起こります。キレる信の姿は身につまされる。
生身の人間の苦悩が垣間見えました。それは、DVだった元夫だって。彼が信にもらす、結婚生活の時の嫌な思い出話し。そういうこともある。でも、どこかで後悔してないことはないんだろうという。誰でも人間なんだよって、救いを描いています。
家族という、幻想かもしれない共同体。それでも、そこを立ち位置として、生きていく人間。