幕のリア

シーモアさんと、大人のための人生入門の幕のリアのレビュー・感想・評価

3.1
シーモア氏の芸術論や芸術家論が蘊蓄ある言葉で語られるが、それこそがピアノの旋律のように流麗で美しく心地よい耳に届く。

ピアノを嗜んだ事がある方には更に堪らないのではないか。
門外漢の私が全てを感じ取れるはずもなく、多くを語るのは畏れ多い気がした。

こんな崇高な芸術家も演奏の場とは言え戦場を経験し、そこで見た死体袋に衝撃を受け、日記にしたため、半世紀も経った今それを思い起こして涙する。

ピアニストの日常だけでない瞬間をも収められたのはイーサン・ホークとシーモア氏の関係性もあるのだろうが、やはり89年生き抜いた一流ピアニストから溢れる才気が隠しようがないからだろうと思う。

〜音楽は感情の言語である〜
〜解決の素晴らしさを知るには不協和音がなくては、不協和音が無かったら和解の意味を知ることもない〜

またいつか邂逅したい作品。
幕のリア

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