生まれつき人とは違う「顔」を持つオギー。
彼の苦しみや孤独を描けばいくらでも涙を誘えるんだろうけど、そうしないのが素敵。
非常にフェアに、平等にキャラクターを扱っている点が私は大好きです。
彼だけではなく、
彼の家族にも彼のクラスメイトにも「人生」や「物語」がある。
オギー以外にも優しい目線を注いでいる映画だからこそ、
私たちは涙してしまうのだ。
「その人の成したこと」をちゃんと見ることができる聡明さを身につけ、
時には親友のために立ち上がれるようになったジャックウィル。
集団の空気に惑わされることなく、自分を変える勇気を持つことができたサマー。
善悪の判断基準を自らの手に取り戻し、親切で正しい行動を取れたエイモスたち。
彼らが水辺で並び立つ後ろ姿に思わず涙してしまったのは私だけではないはず。
学校に行く勇気を、クラスメイトと関わる勇気を持ったオギーだけではなく、
彼の周りの子供達もそれぞれに自分を変え大きな一歩を踏み出したのだ。
親友に裏切られることなんか誰だってあるのだと、ヴィアが語るように
オギーの苦しみは、きっと周りの子供達も感じていたものなのだろう。
そして彼らを見守る大人たちは大人たちで、たくさんの不安と戦いながら日々を過ごしていたこともこの映画は忘れない。
オギーを学校に行かせるべきか悩み、
ヘルメットを着けさせるべきか悩み、
ヴィアともしっかり向き合おうとするイザベルとネート。
青春期特有のカーストや自我に戸惑いながら、友情やホームを見つけるミランダ
優等生としての自分と、不完全な自分の間で揺れながら輝く場所を見つけたヴィア
意地悪な男の子として描かれたけど、きっと両親の支配に苦しんでいたのであろうジュリアンにまで物語がある。
つまり彼らそれぞれが、“Wonder”なのだ。
オギーという太陽を中心に(主人公に)描かれたストーリーの周りにはいくつもの惑星が回っている。
彼らが構成するUniverse こそが、宇宙飛行士に憧れるオギーの目的地だったのだろう。
たとえそれが地上あっても、オギーは夢を叶え居場所を手にしたのだと
拍手に沸くラストシーンを見ながら思った。