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ブラック・ドッグのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・ドッグ(1998年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ジャックはかつて大型トレーラーの運転手をしていたが、ハイウェイで死亡事故を起こしたことから職も営業用の運転免許も失い、今は仮釈放中の身であった。そんなジャックに、ある日、元上司のカトラーはジャックの運転手としての腕を見込んで仕事を紹介してきたのだが…。

劇中でも触れるが、レッド・ツェッペリンの曲と内容は全くの無関係(笑)
全く本作の存在を知らなかったが、トラックのカーアクションと知り、初鑑賞。
ハリウッド製のカーアクション映画は数あれど、トラックが主役の映画は金が掛かるからか?意外と少ない。
CG無しのカーチェイスと破壊が実に痛快。
謎の積み荷をトラックで運ぶ仕事を引き受けた男と武装集団の戦いを描いたパトリック・スウェイジ主演のカーアクションの佳作だ。
物語やアクションの展開はいかにもB級映画なのだが、トラックが走り出すまでに主人公の葛藤やモチベーションに共感ができるものがちゃんと描かれているため、ピンチの連続にハラハラする作りとなっている。

ジャックに依頼された仕事内容は謎の積荷を載せた大型トレーラーの運転で、報酬は1万ドル、さらに営業用の運転免許も再交付されるという破格の条件。
そんなに美味い話がある訳がない。
どう考えてもヤバい案件である。

事故のトラウマに、もう刑務所には戻りたくないと一度は断るのだが、その日の晩、ジャックは自宅で引き出しから家の差押えと借金9,000ドルと書かれた紙を偶然見つけてしまう。
妻メラニーに尋ねると、ジャックの服役中に勤めているパートだけでは生活できず、仕方なく借金したという。

この時のパトリック・スウェイジの潤んだ瞳が良い。
身体を硬直させ、「俺が不甲斐ないばっかりに…」という思いが全身から伝わってくる。
窮地に追い込まれたジャックは、カトラーの依頼を引き受ける。

翌日、ジャックが指定された場所に向かうと、依頼主レッドからアール、ソニー、ウェズの3人を護衛兼監視役として連れて行くように条件を追加される。

失ったものを取り戻すため、ジャックは3人と共に目的地へ出発。
だが出発した矢先にトレーラーは謎の一味に襲撃される。
それは事故に見せかけて荷物を奪い、売り捌こうとするレッドの策略だった。

なぜ追われるのか?と積荷を調べると、謎の荷物は密輸銃器。
護衛役の3人のうち、1人はレッドと内通しており、もう1人は密輸を追うFBIと判明。
かくしてジャックは、レッド一味とFBIの追跡を振り切り、ハイウェイを激走する。
そうこうする内にジャックの留守中にメラニーとトレイシーがカトラーに人質にとられてしまい、明日9時までに荷物を届けなければ妻子を殺すと脅される。

本作の見どころは、90年代のCGに頼らない本物のカーアクション。
トラック同士がバンバンぶつかり合い、崖から落ちたり、激しく横転する。
巨大な鉄の塊が紙屑同然にグチャグチャにひしゃげる。
その迫力だけでも見る価値がある。
トラックが追っ手や警察の車を跳ね飛ばすのも爽快。
追っ手も速い車で追いついたり、タンクローリーに突っ込んで大爆発したり、バイクからジャックのトラックに飛び乗ったりとスタントアクションに創意工夫が見られる。
内容は単純だが、生身のスタントアクションに見応えがある。
70年代辺りの往年のアメリカン・カーアクションを彷彿とさせるバリバリのぶっ壊しアクションだ。

クライマックスで、ジャックはカトラーに積荷と妻子を交換する取り引きを持ちかける。
そこにFBIや警察が駆けつけ、カトラーたちを退治。
ジャックは犯罪撲滅に協力したとしてお咎め無しのハッピーエンドだ。
そこへオマケのように(忘れられていた)レッドがジャックを襲うが、レッドの車は列車に轢かれて大爆発。
ジャック一家はホッとして去って行く。

あれだけ爆破と事故を繰り返し、お咎め無しとは都合が良いが、王道のハラハラするアクション映画。
一度挫折を味わったお父さんが妻子のために奮起し、全てを取り戻すというのが良い。

題名は長距離ドライバーたちの間で噂される都市伝説らしい。
欲をかいて走ると黒い犬が飛び出し、事故を誘発させる。
ジャックは居眠り運転寸前でそれを経験し、死亡事故を起こして服役。
我が国でも自動車運転者の労働時間等の改善基準が今年2024年4月から適用されたが、それに合わせた配信か?
「全てを失ってからでは遅い、こんなに上手く行く話なんてない」と、安全運転の教訓にもなる作品である。
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