YasuhitoArai

破局のYasuhitoAraiのレビュー・感想・評価

破局(1970年製作の映画)
3.8
クロード・シャブロル監督作品。
ある朝、精神的な病を抱える夫シャルルが、ステファーヌ・オードラン演じる妻のエレーヌと息子に暴力をふるい、息子は怪我をして入院してしまう。エレーヌは夫と離婚し、息子を引き取ろうとするが、ミシェル・ブーケ演じる夫の父親は、ジャン=ピエール・カッセル演じるポールを使って、親権裁判に勝つためエレーヌに罠をかけようとする話。

映画冒頭の夫が息子を振り回して、息子の頭から血が出る描写にショック。編集の仕方も乱暴。ショックで近くの女性が声をあげてた。そしてオープニングタイトル。赤文字とおどろおどろしい音楽でホラー映画を思わせた。気持ちが不安定になるような音楽が多かった。

ジャン=ピエール・カッセル演じるポールが見た目からして胡散臭い。親身な振りを装うが、トランプを切る手つきは手慣れている。そしてそこをディテールショットで強調する。エレーヌを貶める計画は杜撰。息子のヴァン=サン・カッセルと似ている。
この作品のキャラクターは、善玉は善玉、悪玉は最後まで悪玉と分かりやすい。
エリーズの見た目にインパクトがある。

最後のドラッグ描写がすごい、そして怖い。ステファーヌ・オードランの顔と台詞に説得力がある。青空に散り散りに舞っていく風船は、空虚さがすごく、風船に乗って消えていった風船おじさんが思い出された。
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