真田ピロシキ

シュガー・ラッシュ:オンラインの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.0
蛇足ではないしお約束に安住もしない。今日日ディズニープリンセスが自立したキャラなのはみんな知っている。しかし王子であり父でありヒーローたるキャラクターと明確に離れて別の道を歩ませたのは今までなかったのではないか。ヴァネロペとの変わらない日々に執着するあまり変化を受け入れられず自身の分身をヴィランとしてしまうラルフは非常に気持ちが悪い。真に変わるのが必要だったのは「私のヒーロー」という立場に依存していたラルフで壮大なカウンセリングが描かれる。この話運びにはヒーローに忖度しまくってたインクレディブルファミリーと違ってディズニーの本気を感じ取ることができた。このビターな余韻は大人向けである。

たくさんのディズニープリンセスが出演すると聞いていた本作。その前にマーベルとSWも含めたディズニー帝国を大動員されててその辺ではガンダムやメカゴジラが出てくる某オタク万歳映画のような嫌らしいサービスを感じてやや減点していた。しかしそのマイナスポイントはファンサービスでは終わらせないプリンセスの取り扱い方で帳消し。ヴァネロペの新しい決意には彼女達が作った道が繋がっている。サービス的な意味合いでも大レスキューシーンや私服姿で抜かりない。

インターネットを舞台にした事でネット民への媚びをやや危惧していたのだが杞憂に終わって安心。ラルフの拡散動画にはネットミームのつまらなさとウザさが余す事なく表現されててそれを刹那的に消費してすぐ風化させるスクリーンのこちら側の人間が見えてくる。ラストのおまけも良い。「ええ?ディズニー本家でも別の映画の予告編やり出すの?」と顔が曇った所にあのふざけたやつですよ。またアニメを実写化すると聞いていよいよディズニーが嫌になり始めているのですが、こういう視点があるならまだ見限らないでおこうかと思えます。

ゲーマー視点を最後に加えるなら前作ではカルホーン軍曹のヒーローオブデューティーがネガティヴに描写されていたのに対して、今回の強いお姉さん系キャラ シャンクが出るスローターレースはおばあちゃんが言うところの「悪いゲーム」でありながら成長したヴァネロペの新天地として好意的に描かれている点がレトロゲームマニアだけに阿らない作風の変化を感じる。バイオレンスな洋ゲーが大好きな人間も安心だ。あ、でもそんなゲームしかやらないのはやっぱりダメと思うよ。レッツ成長!