ガンビー教授

こどもつかいのガンビー教授のレビュー・感想・評価

こどもつかい(2017年製作の映画)
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これはいいな、と思ったところは大抵非ホラー部分の脚本など。親と子の物語に真摯に落とし前を付けようとしているあたりはなかなかはっとする。親もまたかつての子であったという事実……その自意識はみんなふだん忘れているようで、心の奥底にしっかりと根付いている。主人公(門脇麦)がバケモノ化した母親から投げかけられる台詞は本当に嫌な「呪い」だ。

ただ、ホラー的部分についてはあまり感心しない。面白い表現がないわけではないし、そういうところに感心したりもするのだけど、「感心」は「感心」であり笑いとかにも近いものであって、恐怖につながっていかない。

変な映像を見せられるのは好きなので、わりと変な映像がいくつか見られたのは良かったが、その割にはテーマ的に物事が収まるべきところに収まるので、珍品としてのはじけたフレッシュさもそこまで感じるわけではない。(僕としては)そこそこ楽しかった、というだけ。一部に江戸川乱歩とかちょっと連想するようなイメージがあるのはよかったけど……

それにしても、清水崇監督も中田秀夫監督も団地などを舞台にしたモダンホラーの雰囲気で始めておきながら幻想怪奇のようなビジョンを入れ込もうとして失敗している印象。撮りたい作品と企画が見合っていないのではないだろうか(中田監督については、ああこういうのが撮りたかったんだ、という非ホラー作品「ホワイトリリー」はめっちゃ良かった)。

ところどころ空間が歪むような魚眼のショットとかカメラが傾いたりなどの撮影は良かった。廃墟をもうちょっと魅力的に撮ってほしかったけど……

少女趣味と言うか何と言うか、最近の清水監督はどこに向かおうとしているのだろう。この作品がホラーであるという意識が希薄なのか、ホラー演出に飽きたのか、それとも監督がヤバい領域に入り込んでしまっているのに自覚がないのかどれなのか……。本編以外のこういうところで恐怖を感じたくはないんだけど……
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