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攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3DのVigocultureのレビュー・感想・評価

4.5
solid state society= 膠着化した社会


にっちもさっちもいかなくなった社会、みたいな意味合いで捉えてました。
厳密な訳は知らない。


SAC 2ndと同じく、今の日本の社会問題に対する思考実験、一応の解を提示するところまでいくのがこのシリーズのすごいところ。

今となっては実現不可能なテクノロジーはそこまで出てきてなくて、SFだが近未来 とも言い切れない。

超高齢社会と少子社会、子供の虐待死、生産人口減少による経済停滞に対する解答。

独居老人をすべてネット化して、その老人たちの資産を虐待に苦しむ子どもたちに相続させる。(それが独居老人たちの意志である) それによって、虐待から解放して自立を促す。

若年貧困と年金問題がありながら、
老人の貯蓄を効率的に運用する方法。


ラディカルな方法(革命)で問題解決を目指すダークヒーローを9課が裁くというのはいつも通り。

それ自体が、問題の本質的な解決を先送りにする行為であり、
ラストで荒巻がいつも口にする「問題が表層化したことで徐々に解決に向かっていくはず」という姿勢は正直、
現代の50代以上の姿勢をそのまま表しているようでイライラする。

小五郎現象と同じで、実は荒巻が次の問題(革命家)を生み出してるんだぞっていう。


しかも今回は、敵の正体は実は少佐の潜在意識だったという。

つまり、数々の革命家たちと対峙して並列化してきた少佐が、それらの思想にある程度の評価をしておきながら、9課(荒巻=国家)の考えに従っているというジレンマが生み出した怪物。

2年間の漂浪の動機にはそのジレンマも含まれていたはず。

(実際は、革命の陰で私欲を肥やす人間を裁いてきたわけだが、それにより革命自体が成就せずに終わっている)



SACよりも2nd gigの好き。
sssも、じっくり時間があれば敵をもう少しカリスマ化できたんかな、

SACは、アオイが挑んでいるものが、近未来でしか起こりえない電脳硬化症に対する問題解決がメインだったのに比べて、

2ndでは、少子高齢社会→経済停滞→外国人労働者受け入れ→外国人労働者の人権問題と国の右傾化 というもうすぐ目の前に立ちはだかる問題に挑んでるから面白い。
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