相変わらず世界観の作り込みが細かく、1作目で作り込んだワカンダの魅力の強度が高いおかげで、そこに身を投じるだけで楽しめる。
海の世界のタロカンについても同じで、短い時間で歴史から生活までさらう様は、アクアマンの雑さと好対照。
マーベルの強さここにありというのが、キャラクターの強さに任せずに背景を作り込むことね。
逆に言うとネイモア単体はさほど魅力的なキャラクターでもなかった。
リリもね、アイアンマン作ったとこ上がったのに、その後空気やったのどゆこと。
と、1時間あたりまではブラックパンサーの続きとして楽しめたけど、後半1時間のバトルシーン、サウナバトルと魚焼きグリルバースト攻撃で倒したのは激萎えした。
1作目はキルモンガーとのバトルが胸熱だっただけに、今回は稚拙さが勝ってしまった。
ミッドナイトなんたらのデザインが終わってたのも勘弁して欲しい。青いプレデターやん。ドーラミラージュはあのスマートな甲冑姿がかっこいいのに。
と萎えたとこで、ラストの喪に服すとこはよかった。
SFとして良質だったのは、ハーブと人工ハーブの描写。
神秘的な伝承として存在しているハーブを再現可能なものと信じるシュリ。
科学ネイティブ天才シュリがそれを諦められずに兄の今際の際に立ち会わなかった描写を冒頭に持ってきたのは素晴らしい。
そして科学的に99%再現できたものの、それが与えるのはあくまでも身体能力であって、精神的なものではないということ。
プリミティブなものへの追求を深めるブラックパンサーシリーズだからこそ必要な言及で、多次元世界をうんぬんとかいって宇宙を旅する他のマーベル作品との差が際立つ。
SFの大きなテーマが、世界の原理の解明だとすれば、その解を宇宙に探すような映画だけでなくて、同様に解明されていない生物や地球の奥底(今回でいう海底)や、精神世界というインナーユニバースに求めていくような映画も必要で、マーベル作品っていうパッケージでそういうところをもっと深くできればいいよね。