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ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Yearsのtoshiのレビュー・感想・評価

4.5
私はビートルズがあまり好きではありません。はっきり申し上げますとアンチでございますw それでも本作を鑑賞する事に決めました。ある事を確認する為に。

私が何故アンチなのか・・・。彼らがLiveバンドとして活躍した期間のLive音源が少なく、本当に彼らは凄いバンドなのかが分からないからです。彼らの楽曲作成に対する才能は認めざるを得ません。またビートルズが居なければ、現在における全ての音楽は存在しなかったとも思っています。それはわかっているのですが、Liveに対する彼らの存在が私にはどうしてもインパクトの薄いものであり、ずっとモヤモヤしています。
限られた期間の映像や音源で本作は作られたわけですが、果たして本作を観て彼らはLiveバンドであったかという事を確認する事が出来るのか・・・。

私が崇拝するストーンズは、ビートルズと同時期に活動をはじめ、メンバーが70歳を過ぎた未だ現役です。ストーンズの素晴らしい楽曲は、色んな時代のLiveで彼らのその時々のテクニックやコンディション等で様々な変化を魅せてきました。ビートルズにはそれが殆どありません。活動期間が短いので無理もないのですが、Live音源は限られた期間のモノしか存在しません。また、ビートルズはLiveであっても原曲をほぼ忠実に演奏する為、Liveならではの変化もあまり見受けられません。且つ彼らの演奏をかき消してしまう女性ファン達の歓声・・・・。彼らの高音質な楽曲はスタジオでレコーディングされた原曲しかまともに聴けず、Live音源についてはこれまでしっかり聴いた事がありません。

但し、高音質なLive音源が全く無いかと言うとそうでは無く、本作にも登場するアップル社の屋上で繰り広げられるルーフトップコンサートは高画質、高音質で彼らの素晴らしいLive演奏を観て聴く事が出来ます。但しそれはビートルズ活動後期であるLiveから遠のいたスタジオに閉じこもり楽曲作成に没頭している際に撮影されたものです。

本作ドキュメンタリーな部分は、既に過去にも映像として流れているのものありますのでそれほど新鮮味はありません。但しレコーディング時のちょっとした演奏音源等が聴けるのは貴重であると思います。

そして何よりも一番の見どころは、65年シェイスタジアムでの30分間の演奏をデジタルリマスター版で観て聴くことができることです。彼らがLive活動を限界と感じる時期ではありますが、紛れもなくLive活動中心であった前期にあたる彼らの演奏です。この30分間の映像ですが、本当に素晴らしかったです。歓声も十分抑えられ、彼らの演奏テクニックがこんなにも凄かったんだ!という事を確認できます。5万人以上収容できるスタジアムで、VOX社から特注のアンプ等をプレゼントされたところでどれだけしっかり演奏できるのかと・・・。またモニターもなく彼ら4人には音のかえりもありません。にもかかわらずその演奏はあまりにも素晴らしく唖然としてしまいます。正にこの時、ビートルズはLiveバンドだったのだ!と確信した瞬間でした。またそして圧巻はリンゴ・スターです。彼は3人のアンプの後ろにドラムセットを置いてドラムを叩いています。どうやって3人の音をひろっているのか不思議でなりません。凄すぎます。劇中でどうやって音をひろっているかはリンゴがちゃんと語っていますのでココには書かないでおきます。

本作をこれから鑑賞される方は、エンドロールが終わってしばらくしても席を立たずにいてください。エンドロール後にシェイスタジアムのLiveを堪能できますので。因みにそれを知らずにお立ちになる方が何名かいらっしゃいましたw 映画とは、客電というか非常出口の電気がつくまでは何があるか分かりません。正にLiveと一緒です。これまで数多くのミュージシャンのLiveを観てきましたが、客電つくまで油断できないLiveも幾つかありました。そんな感覚を思い出させてくれる本作・・・。これまでエンドロールが始まると早々に席をお立ちになっていた方は、どうか今後は客電がつくまではご着席下さいと改めて思いました。本作の様にエンドロール後、30分間にも及ぶスペシャルな内容が待ち構えているかもしれませんのでw

ビートルズがLiveバンドであったことは本作で確認できました。が、脱アンチしたのかと言われると・・・・。
シェイスタジアムのA Hard Day's Nightで、ジョージの疑惑ギターソロで彼のトリル演奏が確認できるかと思いきや、そこはうま~くポールに隠れてたりリンゴが映ったりで確認する事が出来ず・・・。私のアンチビートルズはまだもう少し続きそうですw
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