くらげ

シークレット・オブ・モンスターのくらげのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

舞台はフランス。米政府高官の父と信仰心の強い母、そして少女のような美しい少年。その少年は心に常に何かに不満を抱え、それが次第に大きく膨れあがっていく...美少年が独裁者に至るまでの、幼少期の1ページ、一瞬を描いた映画です。

私にはとても難しかったですが、どんどん世界に引き込まれていきました。
初めのカメラワークと音楽。まるでホラーのようです。あそこで一気に1918年にどんっと引きずり落とされます。

これを心理ミステリーというなら幼少期の彼に関わる大人達、これが後の彼の人格形成に大きく影響を及ぼすキーとなるのでしょうか
家をあけがちの政治家の父親。
信仰心が厚く教育熱心ながらも育児を放棄し始める母親。
教師を夢見る町娘で少年の教育係のアダ。
いつも少年を優しく暖かく見守り助けるメイド。

癇癪と訳されてますが、彼の悲痛の叫びのような、トム・スウィート君の美しさが少年の壊れていきそうな脆さを余計に際立たせます。演技初挑戦とは思えないほどでした。

また母親役を演じたベレニス・ベジョ。とっても難しい役だったと思います。あくまで少年の独裁者に至るまでのきっかけ、ピースでならなくてはならない助演の中でも1番大変だったのでは?彼女の厳格で凛とした姿がとっても良かったと思います。

またこの作品では最後のシーンまで少年の名前が明らかにされません。母親が名前を呼ぶあの時に独裁者としての目覚めがあったのでしょうか?

最後少年が部屋に駆け上がる時の階段、すっごく埃が積もっています。メイドがいなくなってから彼に愛情を与える人がいなくなったのか、彼の心に寄り添う人がいなくなったのかそういう風に捉えました

ミステリーというだけあって観終わったあと、これはこういうこと?あれはこういうこと?と他の人と討議を交わしたくなりました笑

好き嫌いは別れそうな映画ですが私はもう1度見たいですね
くらげ

くらげ