KUMA

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのKUMAのレビュー・感想・評価

5.0
はい最高。
おれのツボを掴んで離さないランティモス監督の最新作。

だいぶ一般向けな作りの映画。
「内容が」では無くて、「映画の作りが」ってことね。
過去作のようなシュールレアリスムはなりを潜めて、落とし所のつけやすい世界観と表現。
ランティモス入門としては最適だと思う。

キューブリックライクなプラクティカルライティング然り、シンメトリーな構図が基調となっていて、画面構成だけではなく、登場人物の人間関係にまで影響している。

1:1.618の黄金律のような完璧な家族が、不確定要素が混じりこむことによって、徐々に瓦解して行く様子を、たっぷり2時間かけて丁寧に描いていく。

物語から得られる不快感が凄まじく、シンメトリーな画面と相まって、気持ちの整理がなかなか追いつかない。

邦題の「聖なる鹿殺しは」正直ミスリードを誘っているような気がする。
聖なる鹿「を」殺すのではなく、聖なる鹿「が」殺すっていうことを頭の片隅に置いて観てみてください。
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