キナ

22年目の告白 私が殺人犯ですのキナのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

先立って発売されていたノベライズ本を読んでストーリーを把握した状態で鑑賞。

オープニングの不穏な空気、曽根崎の会見と共に描かれる過去の事件で高められ、ストーリーを知っているとはいえこれからどうなるんだろうとドキドキした。
被害者遺族の葛藤や苦しみと相反する世間の騒ぎっぷりは、実社会でも事件をネットなどでお祭り騒ぎのように扱う何も考えていない人々を風刺しているようだった。

ニュースの生放送出演をきっかけに段々流れが変わっていく様や、真犯人(仮)との対面はハラハラしたし、
「私は犯人ではありません、この本も書いてません」
の衝撃シーンは曽根崎の感情的な部分が初めて剥き出しにされて凄まじい緊迫感で良かった。
牧村と曽根崎の目が合うたびにドキッとさせられた。

終盤の仙堂キャスターの別荘でのシーンは、そのハイテンションな演出がちゃっちく観えてしまったのが少し残念。
いかにもなかんじの別荘の造形や仙堂の言葉に重厚感が感じられず、もっと重くして欲しかったなーと思った。

最後、ヨレヨレのシャツを着て憑き物が落ちたような表情の曽根崎(拓巳)にホッとしたような切なくなるような気持ちになる。
顔も名前も変えてまあすごい執念を持ってやってきた結果が…と思うけど、本当に殺人犯にならなくて良かった。
といっても仙堂を刺してるわけだけど傷害罪は大丈夫なのかね?笑
仙堂が手記を発売したり、遺族のチンピラが仙堂を刺殺したりと連鎖する恨みと負の出来事に悲しくもなるけどその展開は好き。

元となった韓国映画も観たくなった。
個人的には重厚感ある暗いサスペンスのほうが好きなんだけど、エンターテイメント性のあるサスペンスとしてはとても面白かった。
演出面で残念な点はあれど、細かいツッコミは無しにして普通に楽しむことができた。
藤原竜也と伊藤英明の演技も良かった。

ノベライズは視点が違っていて、映画では入ってないけど本では説明されていることや別のエピソードがあるので、映画を観てから本を読んだほうが面白いかも。
楽しみすぎて我慢できず先に読んでしまったのをちょっと後悔、映像で観たかったシーンが入ってなかったので寂しい…
キナ

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