KnightsofOdessa

バーガンディー公爵のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

バーガンディー公爵(2014年製作の映画)
2.0
[アヴァンギャルドを理由に客から逃げんな] 40点

鱗翅類学の生徒エヴリンという単語を聴いただけで、アヴァンギャルド作家ピーター・ストリックランドの新作がハンガリーと合作であるのは必然と言えるのかもしれない。フサーリク・ゾルタンの『Szindbad』はサブリミナル的に蝶の標本の上に油滴を零したような映像が挟まれていたからだ。加えて本作品は女性二人の主従関係、性的関係、力関係がシーソーのように変化を続ける様を描写し続ける。

エヴリンは鱗翅類学の教授であるシンシアに恋い焦がれ、彼女の屋敷でメイドとして働いており、潔癖症で上流階級のシンシアが求める姿になるべく修行に勤しんでいた。そして、エヴリンが満足に仕事をしないと彼女を罰するのだ。しかし、表面的にはシンシア優勢に見える関係も、実はエヴリンが握っており、折檻を受けたいがために仕事をサボるようになる。時間を減るごとにエヴリンの力は増大していき、最終的に完全に逆転する。

窓ガラスの反射を利用した空間の拡張など気に入ったシーンも散見されたが、いかんせんストーリーが明らかに間延びしていて、1時間もかからない内容で2時間使って、しかもそれを"アヴァンギャルド"的な映像で間を繋いでるのはシンプルにムカつく。全編濃密であれ。あと、アヴァンギャルドを理由に客から逃げんな。
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