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トータル・ディザスターの光のネタバレレビュー・内容・結末

トータル・ディザスター(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

わりと普通に観れる堅実な作品だった。
ディザスター・パニック映画というのは年々規模が大きくなっているのが特徴で、本作も“トータル”と付いているように複数の災害が一斉に襲いかかってくる。
ジャケットデザインからも壮絶な天災描写を期待したのですが、まぁ、わりと普通のストームって感じでしたね。
描かれるのは地震・竜巻・落雷・暴風などで地震を除けばただの嵐ですから。
作中規模も世界の危機みたいな感じにはなりますが、実際のところ原題の示す通りシアトルだけしか描かれませんし。
良くも悪くもTVムービーの限界に直面したような印象です。
おもしろいのは災害の発生理由が実は人為的な兵器によるものだったという点。
衛星化学兵器が地上に落ちてきて謎の化学反応によって気象が狂わされたという真相がぶっ飛んでて好きです。
これがあまりに未知の存在過ぎて登場人物たちも最初は異星人の仕業だと想定するミスリードまで巻き起こったりもする。
地球外物質説でも良かったような気がしますがストーリーを二転三転させたかったのでしょうかね。
落下地点から黒煙を発生させ、触れた者をミイラ化させるミステリアスな設定はいかにもダークマターでおもしろいと思う。
そしてそれらの災害の解明に挑む中心人物が科学界の権威でもなく一般の家族というのがアメリカのTVムービーらしいところ。
こういう家族の絆とかいう要素を必ず入れてくる予定調和感は我が家のような安心感がありますね。
やや難点は家族全員優秀すぎて展開もご都合主義フルパワーで出来過ぎていること。
家族内に役立たずが1人もいないどころか本来活躍しなければならない対策本部のお偉いさんが役立たずのクズ野郎というのがベタすぎておもしろい。
このハードな事態を収拾させるラストは落下地点に水をかけるというスケールがあまりに小さすぎる方法に「それでいいの?」感が凄まじい。
よくわからん理屈の化学反応で中和させるらしいのだが場面としてのクライマックス感がまったくないのが逆にすごい。
全体的に災害描写もしっかり描かれていて、嫌な奴は死ぬし、バラバラだった家族の絆が取り戻される展開、謎の科学考証といったよくある展開のテンプレート通りの作品で無難で堅実な映画だと思った。
目立った粗こそないが最高におもしろいとも言えないのはスケールの小ささと既視感丸出しのテンプレート作品ゆえか。
結果、暇つぶしにしかならないという印象ですね。
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