のnきち

禅と骨ののnきちのレビュー・感想・評価

禅と骨(2016年製作の映画)
4.5
横浜市開港記念会館にて。
(E-11だったと思う)
なんと!制作に9年もの年月を費やす。
しかも、主役が途中で亡くなってしまう。
中村高寛監督、渾身の作品。

ドキュメンタリーの中に、回想シーンにドラマを取り入れる、アニメありで見応え十分!!
登場人物の性格が面白くて笑えるし、自分のルーツについて考えさせられる作品。

ドイツ系アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた禅僧、ヘンリ・ミトワ氏の人生と死後残された家族のドキュメンタリー。
横浜生まれ横浜育ち。
日本でもアメリカでも感じるハーフ故の苦悩。
若い時のヘンリ氏を演じたのは、ウエンツ瑛士。
久しぶりに演技を見たけど良かった。
実際、ハーフの彼はこの役を演じて何を思ったのかという事にも興味がある。

上映後のシンポジウムで、フランス文学者の鹿島茂氏が仰った事は目からウロコが落ちた。
ドイツ人と日本人の感覚は近く、ヘンリ氏が祖先を大切にすることや禅への感覚は納得できるとのこと。
映像でのご本人の姿、妻、娘の話を見ても、頑固オヤジ、亭主関白といった言葉を想像したことから、この話も腑に落ちた。

ヘンリ氏の言葉で印象に残った言葉。
「将来に夢は無い、過去にはある」
「嫁さんより、お袋さんや」
母への想い、祖国への想い、赤い靴の映画化に拘ったヘンリ氏らしい言葉だと思う。

ヘンリ氏の死後は家族に焦点が当てられる。
その家族もまた個性的。
血のせいもあるのかなと思った。
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