eulogist2001

禅と骨のeulogist2001のレビュー・感想・評価

禅と骨(2016年製作の映画)
3.8
戦前にアメリカ人の映画配給会社の父親と新橋芸者の間に生まれた子供がその後、太平洋戦争前にアメリカに渡り、強制収容所に入れられ、そこで日本人のピアノ教師をする日本人と結婚して子供を授かり、7年経った戦後日本に戻り、禅僧やお茶の海外普及に尽力して、最期は映画を作ろうとして93歳で死ぬ。

波乱万丈な人生といえば確かにそうだが、本人は至って気持ちが向くままに生きてきたに過ぎないというのが伝わってくる。過去を振り返ってみたら、そういう足跡だったと。

そして最後は母親への慕情と贖罪の念の中で子どもたちに看取られて旅立つ。

作品はまさに走馬灯を観るように目まぐるしいが、どこか芯がある。人生の拡がりと深さを感じながらも、刹那も身に迫る。

作中、唯吾足るを知ると刻まれたお寺の水盤が出てきて、本人が解説しているがどうみてもそうはなってないだろうこのひとは。笑。
eulogist2001

eulogist2001