湯林檎

五日物語 3つの王国と3人の女の湯林檎のレビュー・感想・評価

4.0
まず初めに言うと、昔からちょっとダークなおとぎ話やファンタジーが好きなのでこの映画の世界観は非常に好みだったし、こういった映画があったら是非とも観たいと思っていた。そして見事に期待通りの映画だと私は思った。
だけど色々な意味で点数をつけるのが難しかったので細かく配点して平均値をスコアとすることにした。

内訳
映像、演出☆4.5
脚本、ストーリー構成☆3.5
キャスティング、演技☆4.0
平均して☆4.0

感想
言ってしまえば「ペンタメローネ」(著者G.バジーレ)という古典説話集の映画化ということなので普通に考えて面白かった、つまんなかったというのがとても難しい😅
例えば紫式部の「源氏物語」は古典の名作文学として親しまれているけど、今の基準で考えたらストーリーは突っ込みどころ満載なのと同じ感じ。
あとは純粋におとぎ話なので写実性よりも寓話的な意味合いが強いのでこれは何のメタファーなのか考えながら観ると良いかもしれない。

※ここから先少しネタバレあり


個人的な解釈
サルマ・ハエック扮する王妃の話:子供を授かることは命を犠牲にすることと同じ、母親となることは大変である、子供の成長を親が妨げる権限などない
2人の老姉妹の話:若く美しいのは誰しも憧れるがそれを無理やり手に入れても本当の幸せは手に入らない
若い王女の話:結婚及び婿探しは決して簡単ではない、世間知らずのまま結婚すると酷い目に遭う、親の選んだ相手より自分で選んだ相手の方が幸せになれる

個人的には若い王女の話が1番共感できた。私自身が未婚だからかもしれないけどストーリーの結末としても1番良かったと思う。反対に老姉妹の話の結末は何とも痛々しい感じで終わった。(それでもおとぎ話の存在意義は子供たちに世の中のことをわからせるためにあるのであって綺麗さっぱりハッピーエンドだったら意味がない!笑)

ただ、どうしても分からなかったのがサルマ・ハエックの王妃の息子である王子がなぜアルビノとして描かれているのか。多分海の魔物の力を借りて宿した子供だからと言うことなのかもしれないが映画で説明されなかったので本当の理由は分からなかった。

また、ミレイの絵画「オフィーリア」を彷彿させる自然美と残酷さが共存した映像美は非常に見応えがあった。映画で美を堪能できる映画は他に「落下の王国」くらいだろうか。登場するお城はドイツ旅行で訪れたライン川で見た中世の古城を彷彿させた。

かなり異色の作品だけど一度は観て損はない映画だと思った。
湯林檎

湯林檎