もしかすると、初めての韓国映画かも。
韓国映画初鑑賞がゾンビ映画になるとは思っていませんでしたが、けっこう評判が良いし、見てみました。
たしかに、よくできた作品でした。
ゾンビ映画では「ウォーム・ボディーズ」を見ましたが、あちらがだいぶソフトな変化球ゾンビだったのに対し、本作はゾンビの本道って感じです。
ある時どこかで感染者が生まれ、その感染は爆発的に広がり、感染の真っ只中に取り残された主人公パーティーは、防衛線まで避難するべく、決死の逃避行を試みるっていう、この感じ。
密室の列車の中で感染が始まり、目的地も既に感染、出発点に引き返すために、乗ってきた列車へ駆け込むも、バラバラに飛び乗ったせいで家族とは散り散り、合流するにはゾンビ車両の中を突っ切らないといけなくて…と、どんどんスリルを煽ってきます。
感染が始まってからはハイテンションが維持されるので、本当に息つく暇もないですが、それでいて、列車内の合流作戦では知的な部分を見せてくれたりして、上手いこと緩急がつけてあるので、一本調子にはなってません。
力を入れて作ったパニック・スリラーって、本当に最後までハラハラさせてくれるんだなと、感心しました。
で、また、こういう極限状態には、エゴイズムとヒロイズムがよく合いますね。
ああいう状況では、典型的な悪役だった偉いさん風のおじさんみたく、利己的で醜い本性を現してしまう人間も当然出てくるはずですし、だけどそれって、責められないことでもあると思うんです。
私も同じ状況になったら、たぶん、自分の命の方がかわいいっていう側だし。
しかし、そんなふうに、自分本位になってしまうのが普通という状況だからこそ、生命の危機に瀕しても、自分を犠牲にしながら他人を助ける人の姿が、とても光り輝いて見えるんだと思います。
主人公であるパパさん、マッチョのお兄さん、浮浪者風のおじさん、みんなカッコよかったです。
特に、浮浪者風のおじさんは、家族でもない人たちのために命を投げ出してて、けっこう印象に残りました。
その脇に、ヒーローになれなかった青年が配置されてるのも、効果的でしたね。
悲しいことですが、守れなかった人の姿は、守れた人が成し遂げたことの偉大さを、より際立たせますから。
常套的とはいえ、押さえるべきツボは押さえてある、良いドラマでした。
ということで、私にとって初の韓国映画にして、同じく初の本格的なゾンビ映画でしたが、予想以上に楽しめました。
荒唐無稽な物語を力技で見せきってしまうあたりに、韓国産エンタメの強みがよく出てるなと思わされましたね。
まあ、強みがわかるほど作品を見たことないけど、なんとなくそんな印象。
いずれにせよ、いい娯楽映画でした。
ところで、私は韓国映画にとても疎いので、手始めに見るならコレ、というような作品の見当がつきません。
このレビューをご覧になった方の中で、初心者が見るべき一本を教えてあげてもいいよという親切な方がいらしたら、是非ご教示いただきたいなと思ってます。
どうぞよろしくお願いします。
