Shiren

エルネストのShirenのレビュー・感想・評価

エルネスト(2017年製作の映画)
2.0
・映画の序盤にチェ・ゲバラが来広し、広島平和記念資料館、原爆病院と広島県庁に立ち寄った史実エピソードがあるが、一部違和感を覚えるところがあるものの(慰霊碑と原爆ドームの距離が明らかにおかしいシーンがある)当時の風景をできるだけ再現しようとする努力は素晴らしいと思う。ただしこのチェ・ゲバラの来広エピソードと本編がほぼリンクしていない。というかこの映画の本筋からすれば来広エピソードの描写が丸ごと必要ない。どうしてもチェ・ゲバラが広島滞在中に感じたことを劇中で表現させたいのなら主人公との会話に台詞で表現すれば良いだけの話なのになんでわざわざこの部分に時間を割いたのか理解できない。
・主人公を演じたオダギリジョーの全編スペイン語の演技は素晴らしい。ただし映画本編は全方位に配慮しているためなのか史実をただ並べているだけのダイジェストっぽい作りになっているのが本当に残念。チェ・ゲバラのエピソードは他の作品で散々語られているのだから、これを削って主人公であるフレディ前村の人物像をもっと掘り下げて欲しかった。エピローグの本人達の献花シーンも完全な蛇足。
・純粋に祖国の人々のことを心配しながら夭折した日系ボリビア人革命家の紹介という意味ではこの映画は意味があると思う。ただしNHKの2時間スペシャルドラマくらいで放映するなら評価できるけれど商業用映画として全然面白い作品ではない。題材はいいのにどうしてこうなってしまったのか監督は猛省すべき。
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