TAK44マグナム

All Hallows' EveのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

All Hallows' Eve(2013年製作の映画)
3.4
貞子か!


ダミアン・レオーネ監督の、ハロウィンの夜におっそろしい事が起こる変則オムニバス映画です。

ティミーとティムの姉弟とベビーシッターの(何となく面影がエイミー・アダムスに似ている)サラは、テレビで「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を観たりして微睡んでいました。
ほらほら、もう寝なさいとか何とか言っていると、ティムが集めたお菓子袋の中に見慣れないVHSテープが。
黒いケースにラベルもないビデオテープなんて普通なら親父が隠している怪しいエロビデオと相場が決まってますが、「これ観たら寝るよー」と言ってきかないので、仕方なくサラは中身を確かめるべく、デッキにテープをセットしました。
うーむ、普通にビデオデッキがあるってことは、少し前の時代設定なんでしょうかね??

そんでもって始まったのは、どうやらホラー映画。
ティムの目はランランと輝き出します。男の子はこういう危険なモノに弱いのです。
ティミーとサラも、ハロウィンなのでホラー映画なら仕方がないわね、といった具合で観始めたのでした。

しばしのノイズの後に映ったのは・・・
待合室みたいなところで女の人が謎のピエロに襲われ、気がつくと鎖で繋がれているではありませんか。
そこには他にも2人の女性が捕らわれており、なんとか脱出しようとします。
でも、フードを被った連中に囲まれ、倫理的にどうなの?って惨いにも程がある行いが繰り広げられるのでした。

びっくりするサラ。
○○の腹を掻っ捌くとか、こんなの子供の教育上よろしくありません!と、上映会は強制終了。
姉弟は諦めて寝ることにします。

サラはサラで、テレビもつまらないので、それならばとビデオの続きを観るのでした。

今度は、森の中の一軒家に宇宙人が来襲!
家にひとりでいた女子を追いかけ回します。
宇宙人の動きがどこか変態っぽい!

ふうむ。なんじゃこりゃ?と眉間に皺をよせながらも、次の話も観るサラ。
なんだかんだ言って気になるのか?

3話目は、最初に出てきたピエロが再登場。
ガソリンスタンドに寄った女子が主人公。
スタンドのにいちゃんが、何やら不気味なピエロとすったもんだして、ピエロはすごすごと去ります。
にいちゃんは主人公の車にガソリンを入れ始めますが、建物の中から物音が。
「ちょっと待ってて」と中に入るにいちゃん。でも、なかなか戻ってきません。
「あの〜、すみません〜」と、主人公も建物に入ると、なんとまぁ!
先ほどのピエロが、にいちゃんの首をゴリゴリと絶賛切断中ではありませんか!!
驚いた主人公は一目散に車で出発!
で、色々あって、最終的に主人公はビッチな豚にされちゃうのでした!

なんじゃあ、こりゃあ!!と、サラがゲンナリしていると、何だか家の中の不穏な空気を察します。
突然、電話がかかってきて、それにでると聞こえてきたのは豚にされた女子の、「殺人鬼がいるわ〜!」の声!
思わず電話をきったサラが目にしたのは、テレビの画面に映った殺人ピエロ!
ピエロは段々とこちらに近づいてきます!
ニッコリと手を振ったりしてきます!
いよいよ、テレビの中から出てきそう!
おまえは貞子か!!

そんなこんなでビビって錯乱したサラはビデオテープを破壊しちゃいますが、もっともっと恐ろしい体験が彼女を待っているのでした・・・!


何と言っても正体不明の殺人ピエロのキャラクターが素晴らしいんですよね。
一言も喋らないのが却って不気味で、神出鬼没に人をグチャグチャにする真性なるサディスト。
とんでもなく嫌な殺人鬼ですよ。
そんな殺人ピエロがもっと活躍しまくる長編作品「Terrifier」も製作され、その常軌を逸したウルトラゴアぶりにゲップが出そうなのですが、ヤツのデビュー作が本作というわけであります。

終盤の、映画の世界が現実を侵食してゆくパターンは過去にも例はいくつもありますが、ダミアン・レオーネ監督の演出はその辺りの盛り上げ方が非常に上手ですね。
謎の電話から最悪のラストまで、非常に嫌な汗をかかせられます。

ただ、謎のビデオに収められた短編に関しては些か弱い。
宇宙人以外は監督の過去作品からの流用とのことですが、手放しで褒められるのは、やはり殺人ピエロがメインを務める3話目のみだと思います。
1話目は悪魔?の造形などにオリジナリティが足りないし、やっていることは充分にドイヒーながらも見せ方が中途半端で押しが弱い。
2話目の宇宙人のは展開に変化が足りず、短編なのに少しばかり冗長に感じてしまいました。


それにしても、アメリカってハロウィンの夜には「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」をテレビで放送するのがお決まりなんでしょうかね?
他の映画でも、やたらと登場人物が「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」、それも冒頭の墓地の場面を観ている率が高いような気がするのですが気のせいかな・・・
モノクロなので雰囲気が出るからチョイスされるのでしょうか?

ちなみに、あまり繋がりは無いながらもやはりハロウィンを舞台としたオムニバス映画の「All Hallows Eve2」も製作されましたが、そちらは「ナイト・オブ・ハロウィン」という邦題がつけられ、日本でもDVDがリリースされております。
しかし、この一作目は日本では存在自体がスルーされてしまっているみたいですね〜。
残念。


某動画サイトにて