もじゃ太郎

関ヶ原のもじゃ太郎のレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.2
日本を東西に分けて両軍合わせて20万人が参加した天下分け目の大合戦。その歴史的意義に見合ったスケールの大きさだった。

しかし、司馬遼太郎作品が好きなだけに映画としての出来はいまいちの印象。
第一に描く視点が良くないと思った。冒頭司馬遼太郎的な語りで始まるもほとんど司馬的視点は皆無。小説に忠実にやるのか、司馬遼太郎視点を無くすかを明確にすべき。どの立場でストーリーが展開されるのかよくわからなかった。原作に忠実なら石田三成(岡田准一)だが、主人公には豪華すぎる。もっと三枚目的な人がいいと思う。

第二に初芽の存在意義が不明。『アイアムアヒーロー』の有村架純を彷彿とさせる圧倒的空気キャラ。人気取りのためだけなら要らない。腹が立つ。

第三に戦闘シーンは細かく描きすぎて何が何だか不明。司馬遼太郎の作品イメージはあるのだが、それをそのまま映像にしても誰が戦っているのか、どちらが優勢なのか、全く理解できなかった。旗や色合いを見て瞬時に理解できるくらい歴史に明るくないと理解不可能だろう。英語版も上映しているようだが、日本の歴史的知識がないとおそらく意味不明な作品として見られるだろう。

第四に大阪城。おそらく実物を使って経費削減を計ったと思われるが、あの連立式天守は姫路城です。城好きには秒殺され、混乱を招く。がっかり。戦闘のディテールに拘るなら、こういったシーンにも細部までこだわって欲しかった。