ガンビー教授

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのガンビー教授のレビュー・感想・評価

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原作未読なので想像でしかないが、詩人というのはふつうの人間が「これは詩にならない」と見過ごすような思いもかけないディテールを拾い上げる仕事なのではないだろうか。そして、あまりに凡庸すぎて手を出すのがはばかられるような素材を拾い上げられる度胸がなければ詩人ではいられない。

映画もそうで、一見「これは映画にならない」と思われるようなものを映画として切り取ってみせ、あっけらかんと映画にしてみせる勇気と手腕と勝手気ままさこそが求められるのかもしれない。

ちょっとカメラを引けば一つの画角に収まる4人の顔を、わざわざ分割した画面のなかにアップで捉えてみたり、唐突にこちらの予想を軽く超えて実写からアニメーションの世界に突入したり、変な角度のカメラからシーンが始まったり、いかにも勝手気ままな振る舞いなのだけど、しかしこの映画の自由さは「ここに詩情を見出せる」「これは映画になる」という確信があって行われている(と思う)ので、そこに乗っかってそのつど驚けば良いのだと思う。

池松壮亮という役者は不思議だ。とにかく不思議。
ガンビー教授

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