故郷が東京の人間からすると、「またこの手の東京砂漠ものか」と導入はゲンナリしたが、主演二人と監督のセンス、世代の感覚などが加味され後半は魅入らされた。
同じく震災後の不安定な時代・心を描いた『彼女の人生は間違いじゃない』などに比べても、個性的で血が通っていて好感を持った。
東京は、人を魅了し傷つけ、孤独にしボロボロにするが、都市を形成するのもあくまで個人だ。
結局その視点に気づくことができれば、そんなに悪いところではないんだよ。あなた次第なんだよ、と若い人に言いたくなったし、そんな優しさをこの映画から感じた。
また、変化を続ける東京でのロケーションが、変わらない人の心との対比にもなっているようだった。