このレビューはネタバレを含みます
三重苦を背負い本来なら絶望的になるのに、虐げられた者にしか備わっていない逞しさと、持って生まれた才能を生かすことで切り抜ける。爽快。現代ではあり得ない法さえも味方していた人種差別。今の時代でも当たり前にやっていることがそれに繋がっていないかと振り返らずにはいられない。
あんなに合理的に見えるアメリカでさえ、実は根強い差別の歴史があって、それによって生産性にブレーキがかかってしまうことがある。差別の長い歴史には、常に何かを成し遂げたり歴史を変える力を持った優秀な少数派側の人々がいる。そういった少数派が声をあげているうちはまだ大丈夫なんだけどね…というメッセージが込められているように感じる。
自分の潔白を証明することに終始し、負の歴史へ逆行するような立場をとり、世界を牽引して行く筈の国々の思想とは思えない発信をする国家元首たち。使用できるトイレを限定される不自由さを味わってみるといいかも。