噂のインディーズ映画監督ライヒャルト。何も起こらない日常を描ききる能力がめちゃくちゃ高い。ドラマのような出来事が起こるかと思いきや起こらない。交錯するかと思いきや交錯しない。普段の日がただただ繰り返す。普通の人を細やかに豊かに演じる女優陣みんなすごいよー。
映画に共感は求めない方なんだけど、ふと気付けば私なりにとても親身になっていた。ローラが直面してたのは実はかなり根深い問題で、これどう処理しはるんかなあと、何か学べることがあるかもしれないと思いながら見守った。ジーナのあしらわれかたは、そんなに珍しくはないんだろうけど地味にしんどくてストレス溜まった。ジェイミーにはなんかもう…きゅっとしてしまって…。
音楽はほとんどなくて、荒涼とした田舎の透き通ってそうな空気のなかに響く自然音と生活音が耳に残る。馬の蹄の音はしばらく忘れられなさそう。何もなくたって、つまんないとか言われそうな人生だって、続いてく日々のなかで何かを見出だして変化を生める力。生きる強さ。
日本版のこのジャケットにはノーをつきつけたい。
