nt708

死の影のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

死の影(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

今年は勉強も兼ねて短編・中編も観ていきたい。尺が短ければ短いほど、世界観の作りこみや主題の選択が難しくなるからである(もちろん短編・中編・長編それぞれの難しさがある)。私も自分で映画を撮るなら短編から、、と考えているので、これから観る短編映画が何か発想のきっかけになれば嬉しい。

さて、本作は人の死の影を撮り続け、1万人に到達すれば、もう一度生きるチャンスを与えられる男の話である。彼の生きる希望は、死ぬ間際に出会い、ひとめぼれした一人の女性。しかし、写真を撮るためにこの世をさまよっている最中に、女性にとっての幸せが何かを知り、そのために自分の身を捧げることとなる。

本作から感じられるのは、運命の残酷さと、それでも運命に逆らって生きようとする人間の健気さだろう。本作おいて人の死はその原因があらかじめ決められており、その通りに死ぬ。しかし、思わぬ作用によってその運命が変わることもある。それが人為的である場合もあれば、人為的でない場合もある。つまり、運命は残酷でありながらも、自分の意志で変えることもできるということを本作は描きたかったのではないだろうか。もちろん描かれていた主題はそれだけではないだろうが、最も印象に残ったのがその点だった。

やはり作りこまれた短編は面白い。まだ私にとっては手付かずの森。どんな出会いがあるのか、これからが楽しみだ。
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