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君の名前で僕を呼んでのdojiのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
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オリヴァーがたばこを買いに自転車から降りて、喫うか?と自然にエリオにすすめる瞬間、風が吹くようにピアノの音が流れはじめる。ああこの映画ならいつまでも観ていられそうだなと思った。

10代の混乱も、20代の諦めも、苛立ちのなかにある恍惚も、なんとなく察しがつく終わりの前に感じるそわそわとした感じも、夜の闇がやたらねっとりと美しく感じる時間も、気持ちの高鳴りを肌で共有することや、汗ばんだシャツが風で乾いていくこととか、そういった時間のすべて。それらを切り取って、風や匂いを音楽が代弁している。映画を観ている快楽に浸るのと同時に、映画を観ていることを忘れてしまいそうだった。
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