回想シーンでご飯3杯いける

君の名前で僕を呼んでの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
2.7
ブルーのシャツと、スネ毛を綺麗に処理した半パン姿。同性である自分から見ると妙に小奇麗で実体感の無い男性2人が主人公。かなり女子目線を意識した作品だというのが第一印象で、実際、劇場の9割以上が女性客だった。

全てのLGBT映画がリアル志向である必要は無いし、本作も17才という設定のエリオについては、同性愛という枠組みを超えた青春映画の主人公としてとても魅力的だと思う。しかし、24才の大学院生オリヴァーの人物描写が少々雑に感じる。美術や音楽に対する知識はあるようだけれど、人付き合いはやたらチャラチャラしているし、バイセクシャルであり、女性の扱いもアメリカのラブコメに出てくるセクハラ下衆野郎レベルに見える。また、体格が非常に良いので設定年齢以上に大人に見えてしまい、エリオの相手役として適していないとも感じた(もしかしてこれも萌え狙い?)。

全体的に無駄にセクシャルな描写が多いのも気になるところ。で、やはり実体感の無い男性がやっている行為なので、同性から見て全然ピンと来ない。ここでもやはり女子目線を強く意識した作品という印象が強まった。

僕自身にもLGBTの友人がいるし、特に偏見を持っていないつもり。ただ、本作を含め、一部のLGBT映画に於いて、登場人物の美しさありきで描かれる傾向があり、それはセクシャルマイノリティの描き方としてミスリードになり得る。当たり前だけれど、髪の薄いゲイや、肥満のトランスジェンダーもいるのだから。

本作はあくまでファンタジーとして魅力的な作品なのだと思う。受賞歴が示す通り、映像や脚色が要の作品だ。

ラストシーンに映り込む小蠅は何? 敢えて撮り直さなかった理由を知りたい。