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君の名前で僕を呼んでのwwsのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.2
目が眩むようなこの映像は、命が生を謳歌するたくましさを見せつける。途方もなく奔放で、愚かで、どうしようもなくくだらない、そんな自由な美しさに溢れた、決して長くは続かない刹那的な陽光。消えるまでの間だけ、当たり前に光は輝く。

私にとっては聡明な大人たちの存在がとにかく清々しかった。こういう人たちが身近にいたら、きっと年を重ねることに憧れを持てると思う。自分の哲学を持ち、大切なときにそれをきちんと伝えられる、というのは大人のマナーだと思う。


もう一つこの映画を観て感じたことを。
同調することだけがアートを楽しむことではない。その世界に身を浸し、文脈を知り、何を思ったか。それを誰かと話したり、なにかに書き残す、その積み重ねも文化なんだと思う。
しかしいま、この国はその積み重ねを放棄し、あろうことか政治が文化を絡め取ろうとしている。あまりの下劣さに言葉を失いそうになる。
ただ、それでも優れた才能は自ら埋もれることを許さない。この映画のような目も眩むほどの光で無知を暴く。
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