beachboss114

ローガン・ラッキーのbeachboss114のレビュー・感想・評価

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)
5.0
軽妙なケイパーものに重厚な社会派メッセージを忍ばせた傑作。それでいて、ほとんど重さを感じさせない辺りがソダーバーグのセンスの良さ。

例によって、必要以上には説明してくれないのが彼のスタイル。かなりの読解力が求められるけど、答えはすべて映像やストーリーで提示されているから、そこは「慣れ」。とりあえず、まずは何故「カントリー・ロード」なのかにさえ気づけば、テーマの深さは理解できる。

犯罪計画は一見お粗末なようでいて、実は緻密で独創的。その上、十分にバッファがあるから、プランBがなくても少々のトラブルなら挽回して着地できるようになっている。

田舎の労働者階級という外見や雰囲気に騙されてはいけない。場当たり的でマヌケな作戦と思いきや、相当クレバーに組み立てられている。実はスタイリッシュなくせに泥臭く見せている辺りがカッコいいし、痛快。

アナログだと被害総額が正確に分からないという点は、脚本家の慧眼。

テンポより味わい優先。またぞろ「ローガン家の呪い」を予感させたところで切り上げるラストも粋。続編は必要ないけど、匂わせるだけで余韻が心地良くなるからね。

エルモア・レナードやウェストレイクの犯罪コメディがお好きな方は是非。
beachboss114

beachboss114