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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のRyuのレビュー・感想・評価

3.6
1960年代初頭の台湾、台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ〝小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス ハニーの彼女だった。ハニーは人を殺して、行方をくらませていた。小明に惹かれていく小四であったが、そんな時に突然ハニーが戻ってくる。これにより小公園と217の対立は激化していく。

1961年に台湾で実際に起こった、中学生男子が同級生女子を殺害した事件をモチーフにした作品。マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーションのワールド・シネマ・プロジェクトとアメリカのクライテリオン社との共同で、オリジナルネガより4Kレストア・デジタルリマスター版が制作された。
正直感想として一番最初に出てくる言葉は「長ぇ」です。ほぼ4時間という尺にはさすがに長さを感じてしまいました。これいるか?と感じるシーンもちょくちょくありました。おもしろくなかった訳ではないですが、ここまでの大作にしては、めちゃくちゃおもしろかった とまではいきませんでした。多分、自分の感受性の悪さがそう感じてしまった理由だと思います。
前半は主に不良グループの対立をメインに描いています。主人公は中学生だし、不良グループも毛が生えたばかりのようなチンピラです。この対立が尺の割には見せられてるものの内容がないように感じてしまいました。
後半は主人公がどんどん追い詰められていきます。これに関しては、思春期特有の不安定さや当時の台湾の不安定さが見事に表現されていたと思いました。タイトルから悲劇が待っているであろうことは推測できるので、そこに少しずつ向かっていってる感じは、なんとも言えない物悲しさがありました。
今作はなんと言っても、光と闇の使い方ですね。心情や当時の情勢などの闇の部分を顕著に描いており、そんな中にある僅かな光が印象的でした。懐中電灯で足元を照らしながら、なんとか歩み続ける主人公。しかし懐中電灯の光も有限です。光がなくなった時が、あのラストを迎える時だったのでしょう。この光と闇の使い方がまぁ見事で、それで描かれる愛と暴力は非常に映えていたと思いました。
理解できない点も多々あったし、4時間近い尺には長さを感じてしまいました。でも、長いからこそ観終わった達成感はありました。終わり方も終わり方なので、なんかこう煮え切らない余韻みたいなものも感じました。超絶おもしろかった とはなりませんでしたが、評価が高いのは頷ける作品でした。
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