シカゴ記念病院の外科医 リチャード・キンブルはある日家に帰ると、妻のヘレンが片腕が義手の男に殺害されていた。状況証拠からキンブルは妻殺しの濡れ衣を着せられ、逮捕されてしまう。無実を証明できずに死刑判決を受けてしまったキンブルは、刑務所へ移送されることになるが、その最中に他の囚人たちが脱走を企てて車内で騒ぎが発生。それにより護送車と列車が衝突する大事故になってしまう。キンブルは混乱に乗じて逃亡。妻を殺した真犯人を見つけるためにシカゴへ向かう。事故現場に来ていたサミュエル・ジェラート連邦保安官補とその部下たちは逃げたキンブルの行方を追う。
1960年代のドラマシリーズ「逃亡者」の映画版。濡れ衣を着せられたハリソン・フォードを非情な連邦保安官 トミー・リー・ジョーンズが追うクライムサスペンス。
こういう無実の主人公が謎を追いつつ、追跡者側と鬼ごっこするっていうプロットの作品は、サスペンス要素とちょっとしたアクション要素を兼ね備えていておもしろいんですよね。今作も2時間越えの尺だけど、テンポもめちゃくちゃよくて全く飽きがこなかったです。
銃撃戦もないし、格闘もちょろっとだけ。でも序盤の護送車と列車の衝突シーンはまぁまぁな大規模。アクションゴリゴリじゃないのも良き。チェイスシーンが多めなんですが、それでも見応えは十分。ハリソン・フォードがダムから飛び降りるシーンなど、捕まりそうで捕まらない場面が何回かあって、めちゃくちゃハラハラドキドキさせてくれます。
ハリソン・フォードの隠しきれない善玉感も良いんですが、トミー・リー・ジョーンズがオスカーを獲得しただけあって存在感がスゴい。ホントに殺したかどうかなんて知ったこっちゃない というスタンスで、執拗に追っかけます。さらに結構無茶な作戦もしたり、普通に発砲したり、中々恐ろしい鬼さんです。でも事件を追うにつれて、少しずつキンブルの冤罪の可能性を視野に入れて自ら捜査する感じも良き。あんまり表情を変えないのも恐ろしい。あと、ジュリアン・ムーアの使い方が贅沢。ちょろっとの出演だけど、かなり上の方にクレジットされています(笑)。
やはり追いかけっこものは古典的で間違いのないおもしろさがあると思います。スリリングな展開やサスペンス部分の謎解き要素、ほどよいアクション。90年代らしい傑作娯楽作品だったと思います。