Hondaカット

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のHondaカットのレビュー・感想・評価

4.0
81点。映画史に残ると言われる今作を4kリマスター劇場上映にて。非常にアジア的な静と動。確かに恐ろしいくらい静謐に構築された映画だった。

話はシンプルだが、映画全体としては優しい作りではない。人の名前や関係性など、情報量がとても多いのに説明をしていかないので、頭の中で補いながら観る。カメラが切り取るその場所も、あたかもフレーム外を常に意識させる構図と編集。

そういった人の想像力を試すような作りは、最後はある人物の心情すら、観てるこちらの想像から外れていき、画面の側を越えてこちら側の【心】に迫る。そう思うのは、あのシーンが引き画のまま長回しされてるからだろうか。彼らに寄ってない。少女を【社会】の暗喩とするなら、個ではなく公の心を描いてるように見えた。

流麗な光の表現などのフィルムの質感は見事というしかないが、流石に236分付いていくのが非常にパワーが必要とされるのも事実。監督が一番納得してるらしい188分バージョンも観てみたい。
Hondaカット

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