法政大学2部映画研究会

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版の法政大学2部映画研究会のレビュー・感想・評価

4.7
(某部員Y)
多感な10代。多湿な夏。言葉にならない感情。
4時間はこれらを見事に紡ぎ出している。大人と子供、大陸と台湾、男子と女子。自分と他人の違いを意識し始める、脆くて壊れやすい少年たちの心の揺らめきが、みずみずしい感覚で描かれている。4時間という時間は、必然だった。これより短くては視聴者は置いてけぼりになる。なんなら4時間でも短いくらいである。このどうにも説明のしようがない若い心のざわめきを、大人が作って、それを大人が観ても感じ取るものがあるというのだから、傑作と言えよう。究極の映画体験である。