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北の三人の3104のレビュー・感想・評価

北の三人(1945年製作の映画)
3.9
昭和20年8月に公開され、終戦当時国内で唯一上映されていたという作品。
戦後占領軍に接収され、全編72分のうち現存するのは41分のみ。果たしてその状態で筋が理解できるのか?・・観る前はいささか疑問だったがどうしてなかなか、これがきちんと理解できた上に話自体もなかなか面白い。

第二次大戦中、北方の航空基地で通信士を務める同期生三人の女性の描写がメイン。

原節子演じるすみ子が、高峰秀子演じるよしえの兄との恋より仕事を優先させ、やがて彼が戦死したという過去があり、二人の間にはわだかまりが残る。また山根寿子演じるあき子は同じ基地の男性にほのかな想いを寄せているようだ。これらの話の「解決」の描写がカットされていた模様。特に後者のエピソードで山根が惚れる男性役は佐分利信だったようだが、ごっそり抜け落ちているのでその姿を全く観ることができずに残念(観ていておや、見逃した?特徴のある顔だから見逃すはずもないのに・・と思った)。

勇ましい原節子も健気なデコちゃんもどちらも素敵。しかし二人が並んだショットでは身長や体型や顔の大きさの対比が面白い。決してどちらかをdisっているわけではない。
他の男性キャストに志村喬や軍人口調が似合う藤田進など。時期的に戦争礼賛な作風なのは仕方がないが、作品自体はテンポがよく、シンプルでてらいのない人物描写は純粋に心に染み入った。
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