このレビューはネタバレを含みます
「のろろ〜!、、、、、のろろ〜!、、、」
のろろ祭りの掛け声の間隔が不気味。何だ、あの間。4拍でも6拍でもない、足音とも合ってない。誰もいない商店街。誰も見てはいけない規則。
ついでにいえば、のろろ祭りのポスター。黒地に赤文字って。すべてが少しずつ不気味。
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ここは魚深市。人も良くて、魚も美味い町。でも過疎化が進んでおり、その対策も兼ね、市は「元殺人犯」の6人を更生させる目的で移住させることにした。しかも市民には内緒。(え〜!)
田舎の風景の中で、明らかに浮きまくる元殺人犯たち。唯一まともなのは松田龍平演じる宮腰くん。ただ、こういうまともそうな奴が一番ヤバいというのは、映画の定石なんですね。
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のろろ祭りの日に岬から二人で落ちて一人は助かる伝説など、何かと不穏な予感を漂わせながら進むストーリー。
殺人犯たちは絶対に会わせてはダメだ、と言われているのに、のろろ祭りに全員参加している、というお茶目では済まされないドジっぷりで、こちらも一気に緊張。
で、終始緊迫して、不穏で不吉で、何が起こるかわからない感じが良かった。
6人の殺人犯のうち、本筋にほぼ絡んでこない人物がいたりするのが、変にリアル。殺人手段も、殴る、絞める、刺すなどの手段に偏っており、毒殺や爆弾魔などがいないのも変にリアル。殺した相手も女性陣は二人とも夫殺しで被っており、これも変にリアルだ。
強いていえば、優香が錦戸の父を好きになる件が謎だった。結局何だったの?この件は必要だったんだろうか?そもそも、あんな一人で歯磨きもできない程介護が必要な老人を本気で好きなるなんてことがあるだろうか。違和感だ。
脚本がちょっとどうなんだろ、と思うところはあったが、不気味な演出が冴え渡った良作でした。
P.S.
最後の、のろろ神様の采配は良かった。笑ってしまった。あれはギャグなんだろうか、マジなんだろうか。
公開:2018年
監督:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』)
出演:錦戸亮、木村文乃、松田龍平