黒人、ゲイ、貧困。
苦しみはどこまでも連鎖し、それは三重苦どころか、四重苦。あるいはそれ以上を引き起こす。
BLM運動はアメリカに分断をもたらしたけれど、「持つ者」が「持たざる者」に共感したからといってそれで根本的な問題が解決されるわけでもなし。
出口の見えないトンネルを覗いているようで。しかし光はある、と。
でも本当は、真っ暗なトンネルを抜け出せていないってことに、リアル(現実)世界の非常さと虚しさを感じる。
映画単体としては、アカデミー作品賞受賞ということで、期待のハードルを上げるべきではなく。
共感できるかどうかは置いといても、映画の「空気感」に嵌れないならちょっときついかもしれません。
深い感動や興奮があるわけでもなく、でも心の中になんか爛れるような情動が、チクチクと来る。
私にとっては、そんな映画でした。