とてもせつないドキュメンタリーでした。類まれなる才能が必ずしもその持ち主を幸せにはしないのだから。
セルゲイ・ポルーニンはバレエを踊ることは好きだったと思います。母に半ば強制的にバレエを押しつけられたと言っているが、それで家族が幸せになるのであれば辛いことなどなかったのに、自分がバレエを続けるために父と祖母は海外に出稼ぎに行き、ついには両親が離婚していたという現実。自分がバレエを続けることにより家族がバラバラになった事実は心優しい青年には耐えられない出来事だったと思います。ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルという地位も彼にとっては家族以上の、あるいはプライベートのすべてを犠牲にする意味を見いだせなかったのでしょう。
ただ息子の才能を知った母親の「私達よりはましな人生を歩んでほしい」という想いもわかるんですよね。親は親の立場で我が子に幸せになって欲しいと願うのは当たり前だと思います。
もし彼がバレエに出会わなければ、幸せな子供でいられたのか?今となっては意味のない問いですが、普通の人生が欲しかったという彼の言葉は凡人には想像も出来ない重さがあります。
彼はこれからどんな方向へ進んで行こうとしているのかわかりませんが、出来ることなら、バレエをやめないでほしいと願います。
蛇足その1 バレエダンサーは容姿が優れているというのはすごいアドバンテージですね。テクニックに優れ、しかもルックスもいいポルーニンは最強のような気がします。
蛇足その2 邦題がダサすぎる‼️原題(ダンサー)が他の映画のタイトルとかぶるからだとしても、世界一優雅な野獣という表現はあり得ない❗担当者は映画を観ずにタイトルを決めたんですかね。もっと日本語を勉強しましょう。