つるみん

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のつるみんのレビュー・感想・評価

4.3
個人的に今年のベスト10に入る作品。観る前はセルゲイ・ポルーニンという世界的に有名なバレエ界の新星を1ミリも知らなかったのだが、それが恥ずかしくなるほど彼の偉大さが映されたドキュメンタリーとなっていた。今や彼のファンである事を先に言っておく。そして僕が観たドキュメンタリー映画の中でも確実に5本の指に入る傑作であった。

史上最年少として英国ロイヤル・バレエ団に入り、その飛躍した表現力と美しさで名を馳せたものの人気絶頂期の時に退団。バレエ界の異端児や優雅な野獣とまで言われた彼は何故突然、しかも数年でバレエ団を退団したのかを追うドキュメンタリー。
彼の生い立ちから家族構成など丁寧に描かれ、その時の彼の迷いや葛藤がどうも自分に刺さり85分間震えが止まらなかった。ドキュメンタリーは〝リアル〟だからある意味、感情移入しやすかったのだろう。
史上最年少でロイヤル・バレエ団に入る逸材なのは間違いないが、そこら辺にいる普通の好青年の一面もあり、でもやっぱり所々セルゲイ・ポルーニンとして生まれた人生の考え方の違いもあるし…と言った感じでどんどん彼にハマっていった。
彼がバレエを続けた理由、バレエ団を突如辞めた理由、ロシアで再出発した理由、退団後に発表された「Take Me To Church」のMVに出演した理由など、劇中に彼の分岐点となる箇所に生じる理由が、まるで映画の伏線回収のような感覚になるから面白い。
セルゲイ・ポルーニンの人生はハッキリと見える1本の線となっている。彼のコミュニケーションツールとしてバレエが常にいること、そして家族に愛され、多くのファンに愛され、神様にも愛された彼は、もはや神秘的なものと化した。

そして後半にある「Take Me To Church」のMV。MVなのでシーンと言って良いか分からないが、今年一番釘付けとなったシーンであった。
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